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「なにアイツまじうっぜー!」 ハイパー銭湯『陸海空軍銭湯』に隣接した食堂で、「スッパテンコーの狐うどん」をすすりながらコブは悪態をついた。 しわたんの助言も空しく、コブは逆に絶対家には帰らないと言い出した。 現在時刻は午前一時。 すでに真穂は自宅へ帰り、この場にはコブ、墓恵、久湯しか居ない。 墓恵と久湯もしわたんの話を聞いてはいたが、自分の問題ではないと、判断は完全にコブに任せたしだいである。 「ちょっとおっぱいがでかいからって調子ぶっこいてんじゃねーよ!」 「うん、コブはZカップじゃないと満足しないんだよな」 「ちげぇ!」 コブは頭上に「プンスカ」とか擬音が付きそうな表情で「スッパテンコーの狐うどん」を平らげた。 水を一杯飲み、ふとその水面に映った自分の顔を見つめる。 しかし……あのしわたんとかいう女が言っていた『本当に大切な人』とは……? いや、あんな『愛』だの何だの痛い事言う奴の話を真面目に受け取るつもりはないが……。 あいつは『ぬいぐるみ姫』の事を知っていた。 確かに、『ぬいぐるみ姫』に俺は色々なアピールをしたし、プレゼントもした。 だが、『ぬいぐるみ姫』から俺に色々なアピールやプレゼントを貰った事は無い。 『ぬいぐるみ姫』は俺の本当に愛すべき相手ではない? 確かに、あいつは人形だ。 学校でも習った。 この世界には様々な職業の人間が居る。 そのうちの一つ。 『人形師』。 『ぬいぐるみ姫』は『人形師』だ。 だが、俺が見る限り、『人形師』の『ぬいぐるみ姫』は『人形』だ。 美人で知的でしかも人形師。 金髪のサラサラロングでゴスロリとナース服を足したような服装。 そんな人間が現実にいるはずがない。 否、居るのだろうが、俺の目の前に現れる可能性は限りなく0に近い。 『人形師』の『ぬいぐるみ姫』は『人形師』が操る『人形』なのだろう。 『人形』に愛をささげるのは悪ではないと俺は思う。 例えば、久湯だってアニメキャラクターに愛情を感じるのだし、例えば、墓恵だって小説内の女性に愛情を感るのだし、真穂に至ってはフィギュア……文字通り『人形』に愛情を感じている。 しわたんは、そういう事を言っていたのだろうか? 『人形』ではなく、『人間』と向き合え……と、そう言っていたのだろうか? しかし、誰と? ……いや、真面目に考えるのが馬鹿らしいではないか。 あんな胡散臭い奴の話を真に受ける必要は無いはずだ。 それに……こんな時間になってしまっては、帰るのも面倒くさい。 「墓恵、久湯」 コブは二人に呼びかける。 しわたんの助言は、多少ではあるが、コブの心を動かした。 「今からまたカラオケにでも行こうぜ」 しかしそれは体を動かすまでには至らなかった。 これから数時間、コブ、久湯、簿恵はカラオケBOX『カラフルオーケストラ』で暇を潰すこととなる。 そして今日の午前9時。 各自は自宅へと帰還する。 午前10時。 コブの自宅より真穂、久湯、簿恵の自宅へ連絡がかかる。 午前11時。 コブ家にて四家族合同の家族会議が催される。 |
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